留学の中ではポーランド留学はコスパは良いと思います。
留学を諦めてしまう方は大学1年次、特に前期が多い、という お話は以前に書かせて頂きました。しかし、それに勝るとも劣らないのが大学2年次 開始時だということが最近わかりました。
会えば挨拶する程度の付き合いでしかありませんでしたが、息子は日本人の知り合いも何人かいます。その方達が夏休み後に戻ってきていないそうです。日本人だけでなく、国籍に関係なく大学に戻ってきていない人達がいて、感覚的には全体の3割程度、戻ってきていないそうです。戻ってきていない人達の中には仲の良かったポーランド人もいたので残念がっていました。
日本ではありえない光景ですので、ヴロツワフ大学の授業は本当に厳しいのだと思います。ヨーロッパの大学は勉強することころなので、勉強することが苦痛な方は ヨーロッパ留学は お勧めできません。大学に帰ってきていない日本の方はどうされたかは分かりませんが、ポーランドの方の場合、一般的には同じ大学の他の学部や違う大学に編入させてもらうことが多いようです。
息子の友人で、日本の大学のプログラムでイタリアの大学に短期留学をしている人がいます。そのイタリアの大学では、周りがアメリカからの留学生ばかりでアメリカ人の輪の中に入れず、当初は相当に苦労したようです。
息子は大学1年前期の授業が始まる前に、ヴロツワフの役所でアゼルバイジャン出身の方と友達になり、留学直後からあまり寂しい思いをしていません。本人は「僕は運が良かった」と言っていますが、運の他にも その国の人達が日本に興味を持ってくれているか、十分にコミュニケーションが取れる力があるか、は非常に大きいと思います。
冒頭で ご紹介した、夏休み明けで戻ってこなかった方達の理由は様々なのでしょう。その中には、他にやりたいことが見つかったり、学校の授業が思ったより大変なので辞めた、という人もいるのだと思うのですが、現地で親しい友人ができなかったからやめた、という方もいたのではないかと思います。
母国で孤独であることとは異なり、異国の地で孤独であることは それほど辛いものではありませんが、それが1年続いた場合には 大学生活は楽しくはないと思いますし、夏休み明けに帰ってこれない十分な理由になると思います。
息子は人に恵まれた運の要素は非常に大きいです。しかし、現地の方と友人になれるチャンスがあっても友達として会話できる語学力やコミュニケーション能力がなければ、現地の方と友人になるのは現実問題として ほぼ無理です。語学力かコミュニケーション能力のどちらかが飛びぬけている、もしくは両方が ある程度の水準に達している必要はあると思われます。
最近になって、息子はマンガクラブの人達から大切にされ始めているそうです。息子は 英語で意思疎通が普通にできるので、マンガクラブの人達は日本人は英語が話せるものだと思っていたらしいのですが、どうやら違う、ということを理解し始めたそうです。残念ながら、あまり英語を習得せずに現地に行かれる日本人の方もいらっしゃるようです。
息子の留学1年目を見て痛感することは、留学は英語を学ぶところではなく、英語を道具として使って教養を学ぶところであり、留学を実りあるものにできるかどうかは、現地で友人がつくれるかどうかにかかっている、ということです。
日本で十分な語学力を身に着けることは生やさしいことではないので、留学自体、コスパの良い選択肢ではないと思います。しかし、ポーランド以外の国に留学するのと比較すると、様々な意味でハードルは低めなので、他の国に留学するよりはポーランド留学はコスパが高いのではないか、というのが留学1年目の結論です。