ヴロツワフのオペラ:カルメン

 初めて観るオペラの衝撃

 オペラと言えば、その多くがイタリア語で書かれています。イタリア語が情熱的な言語と呼ばれる理由の一つかもしれません。

ところが、僕の初めてのオペラは、ビゼーの「カルメン」というフランス語で書かれたオペラでした。

  劇中に登場するカルメンの序曲やハバネラ、闘牛士の歌などは誰もが一度は聞いたことがあるに違いありません。当時、テスト終わりに学割があるからとふらっと観に行った僕はまさに感無量でした。

カルメンのあらすじ

 舞台は19世紀初頭のセビリア、自由奔放なジプシーの女性カルメンと、真面目で不器用な兵士ホセが出会います。
カルメンはホセを誘惑し、ホセは軍務よりも彼女を優先してしまうほど夢中になります。

しかしカルメンは、誰にも縛られたくない性格です。
ホセが嫉妬して束縛しようとすればするほど、カルメンの気持ちは離れていきます。

やがて人気の闘牛士エスカミーリョが現れ、カルメンの心はそちらへ傾きます。
ホセは捨てられることへの恐怖と嫉妬で追い詰められ、精神的に不安定になっていきます。

そして最後、祭りの日のことです。
ホセは人混みの中でカルメンを呼び止め、「戻ってきてほしい」と懇願します。
しかしカルメンは
「私は自由です。あなたのものにはなりません」
とはっきり告げます。

その言葉を受け止められなかったホセは、激情のままカルメンを刺し殺してしまいます。
すぐに後悔し、ホセは崩れ落ちます。物語は悲劇で幕を閉じます。

なぜ舞台がセビリアなのか?

 舞台となるスペインのセビリアという都市はカルメンだけでなく、多くのオペラに共通する舞台です。例えば、モーツァルトの『ドン・ジョバンニ』や『フィガロの結婚』、またロッシーニの『セビリアの理髪師』はその名を冠しているほどです。

 なぜこれほどまでにセビリアを舞台にしたオペラが多いのでしょうか?
裏を返せば、当時の(17〜19世紀)のヨーロッパの人々にとってなぜセビリアが魅力的に映ったのでしょうか?

 当時からスペインのイメージといえば、他のヨーロッパの国々からしても異国情緒ののある自由で、情熱的な国でした。そして今となってはスペインというと、バルセロナやマドリードなどの大都市が有名で観光地としても人気ですが、物語が書かれた当時、セビリアはスペインで最も豊かな都市だったのです。
 自由で情熱的な都市であれば、どんな物語でも書ける。どんな物語が起こってもおかしくない。そういった発想で、セビリアは物語の舞台として選ばれ続けたのでした。

カルメンを一度は見るべき理由

 オペラは物語だけを切り取っても面白さがはっきりしない時があります。それは、今となっては古典であり、所謂『ベタ』と呼ばれるものになってしまっているからかもしれません。しかし、それでも、ヴロツワフの歴史的なオペラハウスで目で演技を見て、音楽と歌を聴いて、休憩中に「あれはベタだよなぁ」とホワイエでワインを片手に考えるのも良い休日の過ごし方といえるでしょう。

 カルメンは自由で破天荒、男子であればそういう女性が魅力的が映る時期が一度や二度はございますでしょう。彼女に惹かれるホセもまたその一人。火傷が少し重傷だっただけなのです。

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ブロツワフと学生生活

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