
ポーランドは英語を母国語としない国ですが、非英語圏の大学の英語コースに進学するメリットを英語の視点から考えてみたいと思います。
ネイティブに英語を教えた日本人の先生
中学生の頃に通っていた塾で私に英語を教えてくださった先生は、某大学で英語を教えていた方でした。当時は電子辞書などはなく、発音記号が並んだ辞書を買って勉強するスタイルでしたが、各出版社が辞書を出す際には、その先生のところにサンプルを持ってきてアドバイスを求めていたそうです。
先生はアメリカの大学院を卒業された方ですが、あるとき、ネイティブのアメリカ人に英語を教えたことがあったそうです。日本人でもそうですが、正しい日本語は専門に勉強した人でないとわからない部分があります。アメリカ人であっても正しい英語が分からなくなったとき、英語を学んで習得した外国人(この場合は日本人)の視点が助けになることがあります。
標準英語を話すネイティブの割合
ネイティブでも訛りが強い英語を話す人たちはたくさんいます。私が働いていた会社の工場はアイルランドにありました。工場側と出荷調整をしていたときのこと、電話会議で言っていたことが殆ど聞き取れなかったので、出荷調整担当をしていた同僚のアイルランド人に「なんて言っていたの?」と聞くと、「分からない」と言われたことがあります。アイルランドの田舎は訛りがきつく、アイルランド都市部出身の同僚でも分からないことがあるそうです。
全世界の人口は73億人ですが、その21%にあたる15億人が実用レベルで英語を話しています。そのうち、ネイティブスピーカーは約3.8億人(約25%)です。
ネイティブの中で、綺麗な英語を話す人の割合は格段に少なくなります。アメリカでは「General American(GA)」が、イギリスでは「Received Pronunciation(RP)」が「標準英語」とされています。RPを話すイギリス人は人口の約2%(約137万人)程度です。GAを話すアメリカ人の割合は諸説ありますが、アメリカの人口の50%〜80%とされています。
何が「正しい」英語の発音かは考え方によりますが、もしRP(=クイーンズ・イングリッシュ)が「正しい」発音だとすれば、「正しい」発音で話している人は全世界の英語話者の0.1%に過ぎないことになりますし、標準的なアメリカン・イングリッシュが「正しい」発音とするなら、その割合は20%、あるいは それ以下になります。
つまり、実用レベルで英語を話す人たちのうち、圧倒的多数は「正しい」とされる発音で話していない、ということになります。
ノン・ネイティブに英語を習うメリット
中学生の頃、無理にアメリカ人の発音に近づけようと練習していたとき、冒頭で紹介した先生から「無理にアメリカ人の発音に近づける必要はない」と注意を受けました。例えば、CNNで中国人のレポーターが中国訛りの英語で現地中継をすると、視聴者には中国から直接レポートされる臨場感があって、かえって好評なんだ、とも仰っていました。
先生のアドバイスをそのまま聞いたわけではありませんが、私自身は発音の矯正をあまりしてこなかったので日本語訛りが強い部類に入ると思います。他の国の英語話者も相当に訛りがきつくて分かりづらいことも多々あり、訛りが強いのは自分たちだけでないのだ、と思う場面が多くありました。
いろいろな方が仰るように、綺麗な発音を身につけるよりも、「通じる英語」を学んだ方が良いと思いますが、その「通じる英語」を習得するには、英語教育の訓練を受けていないネイティブの先生よりも、スラングが少なく英語習得のコツを知っているノン・ネイティブの先生から教わる方が良い場合もあると思います。この場合、訛りがきつい国のノン・ネイティブに教わる方がよく、ポーランドも訛りがきつくない国の1つです。
「英語を教える」のではなく、「英語で教える」大学の先生であれば、ネイティブよりノン・ネイティブの方が分かりやすい場合も多いように思います。先生にもよるようですが、息子も概ねノン・ネイティブの先生の授業の方が楽だ、と言っています。欧米の大学の授業は、講義を聞くだけでなく、ディスカッションもあります。スラングを交えて早口なネイティブと即応性などが求められるディスカッションをするのは相当に大変だと思います。
ちなみに私共ルセップで留学英語を教えて下さるBob先生はキレイなアメリカ英語を話すネイティブですが、英語を教える訓練を受けている上にノン・ネイティブに教える経験が豊富なため、スラングを使ったり早口になるといった、ネイティブに教わるデメリットはありません。
Bob先生は希望があれば、ポーランド語の基礎を少し教えて下さいます。息子もポーランドに渡航する前に少しだけBob先生からポーランド語を習いましたが、2年半経った今でもBob先生から教わったポーランド語だけで ほぼ事足りているそうです。
情報ソースのリンク先 一覧
・ 実用レベルで英語を話す人とネイティブの人口: DIAMOND Online
・ RPの割合: イギリスの標準発音とは