
養蜂はポーランドの伝統産業の1つです。
ポーランドは他国の侵攻を受け、国家を失っていた時期がありましたが、侵攻した国からは豊かな土地を意味する「乳と蜜の流れる土地」(Land flowing with milk and honey)と言われたことがあったそうです。今でも蜂蜜はポーランドの特産品の1つで、ある調査では2022年にはポーランドの蜂蜜生産量は世界15位です。
ポーランドの養蜂は豊かな自然環境に支えられており、田園地帯から広大な森林地帯まで、さまざまな場所で行われています。蜂蜜の生産には約5万人が従事しており、多くの養蜂家は蜂蜜の純度を重視した伝統的な方法で生産を行っています。そのため、農薬や化学肥料の使用を控える傾向があるそうです。
ポーランドの蜂蜜は、味の良さだけでなく栄養価の高さでも評価されています。代表的な蜂蜜には、菜の花、アカシア、リンデン、そば、ヒース、ゴールデンロッド、そして百花蜜があります。また、ポーランドでは蜂蜜酒の生産も行われています。
以下、ポーランドで有名な蜂蜜をご紹介します。
1. ロウワー・シレジアの森のヒース・ハニー(Miód wrzosowy z Borów Dolnośląskich)
ロウワー・シレジア(Lower Silesia)地方の森に生育しているヒースの花から作られた蜂蜜で、この地域で最も有名な蜂蜜です。最近まで軍事訓練場であったことからヒースの育成地が今でも残っています。
2. ドラヒム・ハニー(Miód drahimski)
ドロースコ湖(Drawsko Lake)周辺で生産される蜂蜜で、そば、ヒース、菜の花を含む5種類の蜂蜜が作られています。
3. ミオド・クルピオフスキ(Miód kurpiowski)
ワルシャワ北東のクルピエ(Kurpie)地方で生産される蜂蜜です。この地域では15世紀から養蜂が行われ、かつては王侯貴族に献上されていました。昔と同じ成分が含まれるよう、現在でも伝統を重んじた製法が守られています。
4. ポドカルパッキー・ミョード・スパッツィオウィ(蜜蝋の蜂蜜、Podkarpacki miód spadziowy)
国内の17の森林地帯と2つの国立公園で採集される蜂蜜で、蜜蝋(ミツロウ)も作られています。主にヨーロッパモミ、トウヒ、スコットランドマツから作られています。
ポーランド産の蜂蜜の有名なブランドは「Huzar Sp. z o.o.」や「Sweet Honey Co.」などがありますが、有名ブランドを含めて日本国内では殆ど流通していません。ポーランドを訪れる際は、ぜひ現地の蜂蜜を試してみてください。
息子はこの蜂蜜がお気に入りで、ヨーグルトやアイスにかけたり、ガレットやパンに塗ったり、ドレッシングに甘味を足したり、温かい飲み物に入れてと色々工夫して楽しんでいます🍯
情報ソースのリンク先 一覧
・ ポーランドの蜂蜜の歴史: POLANA
・世界の蜂蜜生産量: MDPI
・ポーランドの蜂蜜の種類: European Mead Makers Conference
・蜂蜜酒: Wikipedia
・ポーランド国内の蜂蜜: Tasteatlas