〜コメディと小国〜

イギリスの長寿コメディ番組『Monty Python』という名前を聞いたことがあるでしょうか?
1969年から2014年まで続いたこの番組ですが、寸劇を通して歴史や社会を風刺する、非常にイギリスらしい皮肉に満ちた番組です。
その中で、The Treaty of Westphaliaという回があります。ウェストファリア条約という名前はもしかしたら世界史を高校で勉強されたことのある方などはご存知かも知れませんが、西暦1648年の当時、戦争ばかりしていたヨーロッパの国々がこれ以上は内政干渉を辞めようと約束し、一度領土を整理した国際法などの分野では非常に重要な歴史のマイルストーンです。
さて、このルクセンブルクの運命はどうなったか?
今回の寸劇は如何にも大国に揉まれたルクセンブルクの処遇をどうしようかというのが題材となっています。
会議が終わって「ヨーロッパの平和に乾杯!」というところで「そういえば、ルクセンブルクについてはどうしますか?」と尋ねられ大使の皆さんは困惑した様子です。
「あれ!?誰も持ってなかったの!?」や「よし、共用の倉庫にしよう!」とか誰も撮ろうとしません。そして最後には「バルカン半島のことも考えねばなりません」という進言で幕を閉じます。
注意として、実際の歴史では、ウェストファリア条約において、ルクセンブルクもバルカン半島も議題には上がっていません(ルクセンブルクはオランダ領だった)。
しかし、この話は、ルクセンブルクは(バルカン半島も)誰も取りたがらないということを風刺しています。それはルクセンブルクという国が余りにも地政学的に重要なために、誰かが所有権を主張すれば、必ず取り合いになるということを意味していました。
ルクセンブルクの地政学

それもそう、ルクセンブルクは小国でありながらEUの両輪であるドイツとフランスに囲まれています。
強国に囲まれ、歴史的にも揉まれた国です。
故に他国の侵略から身を守るために街自体が要塞化されています。

城壁には今でも無数の大砲の跡が残っていて、かつての壮絶さが想像できます。
平和になった今日、ルクセンブルクは金融で政治で大きな成功を収めているわけですが、その話は次回にとっておくこととします。


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