
本ブログでもエラスムスについては何度か触れてきましたが、このあたりでまとめの記事を書かせていただきます。
エラスムス・プラスとは
当ブログで単に「エラスムス」と書いていた、EUが主導する学生交換・奨学金プログラムは正しくは「エラスムス・プラス」です。単にエラスムスというと昔のエラスムスを指すことが多いようですが、息子の周りの学生はエラスムス・プラスを単にエラスムスと呼ぶことが多いため、当ブログでも過去の記事では「エラスムス」と表記していました。
以前のブログでも書きましたが、エラスムス・プラスを利用してポーランドの大学から比較的物価の高い他国に短期留学すると、ポーランドの物価が安いため次のようなメリットがあります。
・ 物価が安い国の授業料で、物価が高い国の授業が受けられる
・ 生活費の水準が大きく異なる場合、追加の生活費補助がもらえる場合がある
「ポーランドの大学の編入事情」でも触れましたが、ヨーロッパには共通の単位互換制度(ECTS)があるため、短期留学先で取得した単位も本来の大学の卒業要件としてカウントしやすく、エラスムス・プラスを使った短期留学が盛んです。
エラスムス・プラスでの短期留学
エラスムス・プラスを活用した短期留学プログラムは、大学同士の取り決めによって実施先が決まります。したがって、あるポーランドの大学で提携している留学先大学でも、別の大学では提携がないことがあり得ます。
ECTS を EU 域外に拡張したものが ICM(International Credit Mobility)です。ポーランドの大学と日本の大学が二者間で協定を結び、ICM を活用した結果、エラスムス・プラスの留学先に日本の大学が含まれる場合もあります。
提携先の大学数やプログラム数は各大学で異なります。たとえばグダニスク工科大学には600以上のプログラムがあり、期間は最短3ヶ月、最長12ヶ月まで選べます。参加には、出発時点で学士課程2年次以上であることが必要です。
エラスムス・プラスの仕組みでは、受け入れ大学に授業料を支払う必要がありません。授業料は本来籍のある大学にのみ支払い、留学中の滞在費補助として奨学金が支給されます。奨学金の金額は、留学先国の生活費水準に応じて設定され、高い国ほど手厚い支援が提供されます。
エラスムス・プラスの利用実態
これだけの特典があるにもかかわらず、留学生の間でエラスムス・プラスが活用されている例は意外と少ないようです。大学1年生のときにはクラスの話題になったものの、その後、息子が親しくしている他国からの留学生がエラスムス・プラスを利用して短期留学したという話はあまり聞きません。
一部の留学生はヨーロッパ内の他国へエラスムス・プラスで留学し、息子も留学しているクラスメイトのところへ遊びに行ったことがありましたが、大半は短期留学に踏み切っていないようです。
ポーランドは物価が安く治安も良いため、普段の学生生活を送るためだけにで他国へ行きたいと思わないのかもしれません。単に他の国に行ってみたいだけなら、旅行で十分という考え方もあります。息子がエラスムス・プラスで短期留学しなかった理由の一つはこれでした。
留学生がエラスムス・プラスを積極的に活用しない理由は、もう一つあると思います。 それは、留学中に単位を落として再履修が必要になった場合の負担です。ポーランドの大学では、入学から1年以内に半数近くが退学し、3年生までストレートで進めるのは全体の3〜4割にとどまります。授業は厳しく、単位を一度も落とさず卒業する人はほとんどいないのではないかと思われます。
エラスムス・プラス短期留学中に再履修が必要な科目があった場合、一応配慮があることもあるようですが、留学と再履修の両立を考えると二の足を踏んでしまうのではないかと思います。
とはいえ、エラスムス・プラスは他のヨーロッパの大学で学生生活を体験できるチャンスです。余力のある方はぜひチャレンジしてみてください。
情報ソースのリンク先 一覧
・ エラスムスの一般ルール: Powiślański University
・ グダニスク工科大学の提携大学数: グダニスク工科大学 公式ページ