
国境の町・ゲルリッツ
このブログで何回か扱っていますが、ポーランドとドイツの国境の町・ゲルリッツは息子のお気に入りの町です。 1つの町がオドラ川を隔てて分かれており、ドイツ側がゲルリッツ、ポーランド側がズゴジェレツです。今回のポーランド渡航で私もゲルリッツに連れて行ってもらいました。
ゲルリッツはヴロツワフから急行列車で1時間半ほどですが、各駅停車を使って接続が悪いと2時間半ほどかかります。
ドイツ側のゲルリッツ、ポーランド側のズゴジェレツは町の様子も異なっており、橋を隔てて右側のポーランドの町は壁には多くの落書きがあり、屋根は歪み、窓は割られ、古びた建物が並んでいます。 一方、左側のドイツ側の町であるゲルリッツは、きれいな色の建物が高貴な佇まいで並び、ほとんど落書もありません。

ドイツ側を散策すると、観光客もあまりいない閑散とした街並みが広がっています。 建物は立派で装飾も素晴らしく、お店もどこか余裕のある雰囲気です。積極的に声をかけてくることはなく、こちらを見て微笑むだけ。道楽で お店を営んでいるかのようです。息子のおすすめのアンティークショップに入り、キッチンファブリックやハンカチをいくつか購入し、ここまでは とても良い気分でした。

厳しい国境警備
しかし、ポーランド側の町・ズゴジェレツに入ると、トラブルに見舞われました。ポーランド側へ渡るために橋を渡り、国境に入った瞬間、国境警備隊の屈強そうな2人の軍人が反対側の道から歩いてきて、以下の質問を受けました。
「Where are you from?(君たちはどこから来たの?)」
「日本です。」
「パスポートを見せて?」
私が渡したパスポートを国境警備隊員が渋い顔でペラペラとめくると、悪いことをしているつもりはないのですが、ドキドキでした。そして、「ビザがないのはなぜ?」と聞いてきました。
日本人であれば、ポーランドに旅行する際には滞在日数が90日以下であればビザは不要です。 最近はパスポートが電子化されたせいか、ポーランドに入国する際にはスタンプも押されませんでしたが、それが災いしたのかもしれません。
私が「3週間の滞在だから必要ないでしょ」と答えると、「ちょっと待って」と言ってネットで調べ始めました。そして、少しすると「帰りのチケットを見せて」と言われました。 メールに送られてきた電子チケットを見せましたが、スマホのバッテリーの残りが5%だったので、冷や汗モノでした。
しばらく待たされた後、「行っていい」という合図をされました。 最近のポーランドも不法移民が問題になっていて、チェックが厳しくなっているのは理解しますし、日本人が全くいないような町では国境警備隊の人たちも日本人の扱いには慣れていないのだと思いますが、日本人の短期旅行者はビザが不要ということを国境警備隊の方たちが知らなかったことは残念でした。
ただ、ポーランドの方たちは日本人に優しい方たちも多く、優しく声をかけてくれる方もいらっしゃいました。国境警備隊のボーダー・コントロールの直後、黄色のチョッキを着た気の良さそうなおじさん2人に再び「どこから来たの?」と聞かれました。「日本です」と答えると、「ウェルカム、ウェルカム👍 私は日本が好きだよ」と言ってくれました。
後から息子に教えて貰った事ですが、その黄色いチョッキを着たおじさんたちは警察官でした。私たちが何分間か尋問されているのを見ていて、それを不憫に思ったのか、とても優しく声をかけてくれたのでした。

その一連の出来事で目指していた電車の時刻に間に合わず、48ズロチのチケット代は無駄になってしまい、その1時間後の電車は各駅停車で、さらに2時間も余計にかかってしまいました。ヨーロッパに慣れている息子は淡々としていましたが、体力も時間もお金も余計に浪費したことに暫く憤激していました。ともかく、大変な一日でした。。🥹
それでも、マシな方だったのかもしれません。もし、パスポートを持っていなければ もっと大変なことになっていたことでしょう。 その日、ゲルリッツに出かけるときにパスポートを持たずにゲルリッツに行こうとしたのですが、息子が「お母さん、パスポートを持って行かなきゃだめだよ」と言われたので持参していました。息子の言うことを聞いて本当に良かったと思います。
